S-ICDを植込むことになった経緯を教えて下さい。
10年ほど前に、突然意識がなくなって倒れ、再発の危険があったため除細動を行う器械(以下、経静脈ICD)を植込みました。その後、経静脈ICDにつながっているリード線が断線しましたが、心臓内に入ったリード線の抜去はリスクが高いと医師から説明があり、抜去は行いませんでした。今回2度目の断線があり、主治医の先生からは「血管には2本の断線したリード線が残っていて、これ以上血管内にリード線の植込みはできないので、リード線の植込む位置が違う新しいタイプの器械の植込みしかありません。」と説明され、皮下植込み型の除細動器(以下、S-ICD)を植込むことになりました。
以前の経静脈ICDについてはいかがでしたか?
当時は仕方のないものだと受け入れて生活していましたが、振り返るとやはり「自分らしい日常生活」を送れていなかった点が多くありました。
自分の長年の趣味であるゴルフも、経静脈ICDを植込んでからは主治医の先生に止められ、10年くらいできませんでした。また車の運転をしようとシートベルトに手を伸ばす時などの身体をひねる動作をする際や、寝返りを打つ際にも植込み位置の周りにすごく圧迫感を覚えていました。
S-ICDの植込みに不安はありませんでしたか?
すでに経静脈ICDを植込んでいた経験があり、S-ICDは血管にリード線を入れないという説明も受けていたので特に不安はありませんでした。
強いて言うと、S-ICDの大きさについては自分自身が痩せ型のため本当にこれが脇の下にきちんと収まるのかという点がやや心配でしたが、主治医の先生から「もっと痩せた患者さんに植込んだ経験があるから問題ないですよ。」との説明を受けて安心した記憶があります。

S-ICDを植込んでみていかがですか?
主治医の先生のお墨付きで長年の趣味であったゴルフも再開することがでました。元々体を動かすことが好きで、どちらかというと活動的な日常生活を送っていたため、S-ICDを植え込んでからは自分に合った生活を取り戻せたと感じています。
手術直後はS-ICD本体を植込んだ部分が腫れていましたが、先生の説明通り様子を見ていると数週間後には治まりましたし、腫れに対する痛みも全くありませんでした。
また、植込んだ直後は小走りした際に脇の下でS-ICDが揺れている感じがしましたが、1ヶ月少し経つと筋肉でうまく締まりこんだのかその揺れもなくフィットした感じになり、その後は植込まれていることすら全く気付かないほどになりました。
S-ICD治療を受けてよかったですか?
大変良かったと思います。
ゴルフを再開できるようになった以外にも、これまでは経静脈ICDを植え込んだ部分に当たって使えなかったリュックやショルダーバッグを使えるようになったりするなど日常生活での活動の幅が広がりました。
特に自分にとってのゴルフのように、活動的な趣味を持っている方や身体を動かす機会の多い方には、制約が少なくほとんど気にすることなく日常生活を送れるこのS-ICDがちょうど良いのではないかと思います。

プロフィール
一純さん(仮名)
60歳代 男性
特発性心室細動にて経静脈ICDを植込んでいたが、複数回断線があり、現時点で徐脈の症候は無いためS-ICD植込みとなる。
2017年2月S-ICD植込み
取材:2017年5月
当インタビュー記事は、患者様の個人的な感想で、全ての患者様の症状が同じように改善することを保証するものではありません。